疲れたりすると、まぶたや眼の周り、口元がぴくぴくすることはよくあることです。
当院にも、「まぶたがピクピクする」訴えで受診して頂く患者さまが多くおられます。
疲れているとまぶたや口元がピクピクすることは、よくあることですが、
その症状がいつまでも続いていたり、ピクピクの範囲が広がったりする変化がある場合は
治療が必要です。
『眼瞼けいれん』 と 『片側顔面けいれん』
『眼瞼けいれん』とは、自分の意思に関係なく、
両眼のまわりの筋肉が、勝手にけいれんし、眼が開けにくくなる病気です。
症状として、「まぶしい」、「目が乾く」、「目を開けていられない」、
「目がショボショボする」、「目の周囲がピクピク動く」など多様で、
ドライアイと似た症状があります。
左右両方に発症し、症状は進行していきます。
進行すると、自分の意志で眼を開けようとしても開けられなくなり、
手を使って開けなければならない場合もあります。
『眼瞼けいれん』は、50~70歳代の女性に多くみられ、
男女比は女性の割合が多く、男性の約2倍といわれています。
『眼瞼けいれん』は、パソコンなどで眼をよく使う方だけでなく、
普通に生活している方にも多い病気です。
原因は不明ですが、多くの報告から大脳基底核の神経伝達物質GABAの受容低下が
指摘されています。
『片側顔面けいれん』は、自分の意思に関係なく、
顔の片側の筋肉だけが、勝手にピクピクする病気です。
顔面神経は、目をつぶったり、口の開け閉めや、笑う時に使う筋肉を動かす神経です。
通常顔面神経は自分の意思で動きます。
『片側顔面けいれん』の場合、顔面神経が何らかの原因で隣り合っている血管に刺激され、
自分の意思に関係なく勝手に眼の周りや口、頬、顎の筋肉が動いてしまいます。
精神的な緊張によって出現することがあります。
初期には下まぶたのけいれんが多く、
徐々に頬、口元、下あごへとけいれん部位が広がります。
左側の発生がやや多く、50~70歳代の女性にみられることが多く、
患者さんの約7割が女性です。
初期は、主に顔の片方の眼の周囲、口元がピクピクします。
進行すると症状が頻繁に起こり、眼の周囲や口元、頬、顎の筋肉がひきつります。
最近の研究から、生活習慣病である「高血圧」や「脂質異常症」の症状がある人では、
『片側顔面けいれん』になる割合が高いことがわかってきました。
では、『眼瞼けいれん』や『片側顔面けいれん』が心配される場合は
どんな検査をするのでしょうか。
『眼瞼けいれん』が疑われる場合は、ドライアイとの鑑別が必要ですので、
まばたきテストと一緒にドライアイの検査を行います。
『眼瞼けいれん』の場合、CTやMRI検査では異常はみつかりません。
『片側顔面けいれん』が疑われる場合は、
ピクピクが出やすい状態を誘発させて観察することで、診断ができます。
脳内の血管が顔面神経を圧迫している状態はないか、
けいれんを誘発する他の脳の病気がないかなどを調べるために、
頭部のCTやMRI検査を行います。