『加齢黄斑変性症』は、カメラでいうところのフィルムにあたる
網膜と呼ばれる膜の一番視力の良い部分:黄斑部に
変化が起こる病気です。
『加齢黄斑変性症』には、
『委縮型』 と 『滲出型』 のふたつのタイプがあります。
『委縮型』 は 進行が緩やかで、
変化が黄斑部のさらに中心部分の「中心窩」に起こらない限り、
重度の視力障害になることはありません。
でも、途中で、『滲出型』に移行することもあるので、
定期的な健診を受け、経過観察が必要です。
『滲出型』 は、
黄斑部に新生血管という細くてやぶれやすい血管が、
網膜の下の脈絡膜から伸びてくるタイプです。
新生血管から、血液成分が漏れ出したり、出血したり、
大きなダメージを黄斑部に与えます。
『加齢黄斑変性症』の治療は、『滲出型』に対して行われます。
『滲出型加齢黄斑変性症』 に対して今まで 「硝子体手術」 や
PDT(光線力学的療法) 等の治療がされてきましたが、
今日 ご紹介させて頂く治療方法は、
当院でも受けて頂くことができる 『抗血管新生療法』 という方法です。
体内には、新生血管の成長を活発化させる
血管内皮増殖因子(VEGF)という物質があります。
このVEGFの働きを抑える治療薬を眼内に注射することにより、
新生血管の増殖や成長を抑制する治療方法です。
最近 『ルセンティス』 という薬による治療が開始されました。
治療は、白目の部分から、直接眼の中の硝子体という部分に
治療薬を注射します。
薬剤は1回に0.05mlと少量ですので、
処置の時間が短く、外来での治療が可能です。
3ヶ月間は、毎月1回注射をしていきます。(導入期)
その後は、視力や病気の状態を診ながら必要に応じて、
1ヶ月以上あけて注射をします。(維持期)
治療を受ける前3日間と、受けた後3日間は、
注射部位への感染を予防するため、
抗生物質の目薬を、自宅で点眼して頂くようになります。
治療は、新生血管が生じた早期から、
ある程度進行した時期まで、可能ですが、
網膜がひどく傷んでいる場合、効果が期待できないこともあります。
『ルセンティス』 の 海外での臨床試験の結果では、
12か月後の視力維持効果は、95% と報告されています。
24ヶ月後には、全体の30~40%に 視力改善の効果がみられたそうです。
全身性の副作用として、脳卒中の報告があります。
以前に、脳卒中 または 一過性虚血発作のある方は、
医師にご相談下さい。
また詳しくお知りになりたい方は、スタッフに声をかけて下さいね。