目の疲れがきっかけで眼科を受診し、ドライアイを発見される患者さんが多いことは、

以前より知られています。

最近は10代20代の方が眼精疲労や視力の不安定さを訴えて受診されるケースも増えています。

眼精疲労の原因としては、①筋性 ②調節性 ③症候性 ④神経性があげられます。

しかし眼精疲労の要因は、シンプルに1つだけということはなく、

複数の要因が関連していることが多いです。

若年層の方が眼精疲労を訴える場合も同じです。

メガネやコンタクトレンズの度数が不適当な場合があります。

また、斜視・斜位があり、目の位置をまっすぐに保つのに無意識のうちに目が緊張し

がんばっている場合があります。

ドライアイがあり目の表面の涙の層が凸凹になると、

ピントが合いにくくなり調節しようとして筋肉疲労を起こします。

最近注目されている原因は、涙の不安定さ(ドライアイ)による眼精疲労です。

目の表面の涙の層が不安定で凸凹になっていると、網膜に映る像が鮮明でなく見えにくいため、

ピントを合わせようとします。

ピントを合わせようとする際、

水晶体(目の中にある凸レンズ。これを厚くしたり薄くしたりすることによりいろんな距離のものが

はっきり見えるようになる。)を調節するために、毛様体筋という筋肉を使います。

涙の層が不安定だと常に毛様体筋を使うことになり、眼精疲労が起こると言われています。

また現代の仕事ではパソコンやスマートフォンなどデジタル機器の画面を見続ける機会・

時間が多く、これらの画面を注視することでまばたきの回数が減り、

ドライアイの症状(乾燥、疲れ)が現れやすくなる心配があります。

参天製薬株式会社さんが行った「ドライアイと労働生産性の関係」を探った

「Osaka Study」という研究があります。

この研究発表によると、

①ドライアイは、仕事や日々のQOL(Quality of Life)への影響が大きい疾患である

 ことがわかった。

②ドライアイによる労働生産性の低下率を日本人1人当たりの平均勤務時間に換算すると、

  約3日間/年 欠勤しているのと同様の損失時間が認められた。

③対象企業における1人当たりの年間売上金額に換算すると、

  年間生産性低下額は約48万7千円、1人当たりの年間所得低下額では約9万3千円に換算。

④オフィスワーカーのうち、約65%がドライアイ確定またはドライアイの疑いがある。

⑤出勤できる程度の健康状態であっても、

 うつ病や花粉症などのアレルギー性疾患では労働生産量が低下することが知られているが、

  ドライアイによる労働生産量の低下は、偏頭痛とほぼ同程度の影響がある。

⑥ドライアイ症状が重くなるほど、幸福度が低下し、睡眠の質が低下している。

⑦40歳以上を対象に、メタボリックシンドロームと涙液分泌量の相関を調べたところ、

 メタボリックシンドロームではない人と比べ、メタボリックシンドロームの人の方が、

 有意に涙が少ないことがわかった。

⑧メタボリックシンドロームは、糖尿病や高血圧など生活習慣病を併発しやすくなり、

 労働生産性とも大きく関わることから、自治体や企業により

 メタボリックシンドローム改善に向けた様々な取組が行われている。

⑨ドライアイ患者は、運動量が優位に少ない。

 (この研究は、参天製薬株式会社本社勤務者672名中561名の調査結果に基づいて
  検証されています。)

デジタル機器との付き合い方、オフィス環境、働き方を含めた、

企業と個人双方の健康、有益を考えると、ドライアイ対策はとても重要な意味があると言えます。