当院にはたくさんの患者さんに来院していただいていますが、聾唖(耳に障がいがあり話すことが困難)の患者さんも通院されています。聾唖の方とのコミュニケーションは、筆記や手話通訳の方を同席するなどがあります。
ときに聾唖の患者さんが白内障手術を受けることもあります。その折に心配されるのは、手術時、ドレープが顔全体にかかって行われることです。医療者は声をかけながら手術を進めていき、何かあれば患者さんから声で伝えてもらうことが多いのですが、聾唖の患者さんはそれが難しいため不安は大きいと思われます。医療者側にとっても指示が伝えられないため不安です。不安を少しでも軽減出来るお手伝いが出来ればと、当院で行っていることをお話したいと思います。

当院での聾唖の手術患者さんの診察は、通訳さんを同席しての方がほとんどです。そこで通訳さんに同席してもらい、手術の説明日などに体験をしていただいています。進行手順、その時々の合図や注意点などを書いた専用のパンフレットを作成しています。それを見ていただき、その後実際に手術室に入って手術台に寝てもらい、手術の流れを説明しながらその時々の注意点や合図を確認し、流れを理解していただいています。
合図の例としては、
目を閉じて下さい……親指と人差し指を閉じる
目を開けて下さい……肩をたたく
痛いとき……痛いときの手話(手のひらを上に向けて全部の指を少し曲げ左右に揺らす)
医療者がそれを理解したとき……手を握ります
などです。
当日の患者さんは、私たちの合図をしっかり見てくれています。指示を理解し、比較的落ち着いて手術を受けられている感じがします。終わると前室には手話通訳さんが待機しているので、通訳さんの顔を見た時一番ほっとした顔をされます。私たちが何事もなく手術が終わりほっとする瞬間でもあります。私たちも手話通訳の方と同じように”手術終わりました””お疲れ様でした”などの手話も覚えて、他の患者さんと同じような声かけで伝えられたらと思っています。
また、白内障手術は高齢の方も多く、難聴の方もいらっしゃいます。大きな文字で書かれたパンフレットも作成しています。手術を待っている間にそれを読んでいただき、手術がスムーズに進行するようお手伝いさせていただいています。

手術は誰しも不安ですが、少しでも不安が軽減出来るよう、これからも患者さんに寄り添い必要な援助をしていきたいと思います。