0.025%アトロピン点眼による近視抑制治療
0.025%アトロピンとは
1%アトロピン点眼液は、斜視、弱視がある乳幼児の屈折の検査をする際に使用します。1%アトロピン点眼液は、近視の進行予防に効果がありますが、散瞳作用(瞳が開きまぶしくなる働き)や、調節麻痺作用(近くの物がぼやけて見える働き)がありますので、近視の進行予防には使えないと考えられてきました。
しかし、近年、濃度を薄めたアトロピンが、まぶしさや見えづらさを抑えつつ、近視の進行予防に効果が得られることが分かってきました。
当院では、従来0.01%アトロピン点眼液を使用してきましたが、より優れた近視抑制効果が得られる0.025%アトロピン点眼液に変更し、治療を行っています。
0.01%アトロピン点眼液と比較してもまぶしさや見えにくさはあまり出ず、近視の進行予防効果も得られています。
作用機序
近視は、眼の奥行き(眼軸長)が伸びることにより生じます。アトロピンは、脈絡膜や強膜に分布するムスカリン受容体に直接作用し、眼軸長を長くさせないことで近視の進行を抑える働きがあると言われています。
治療方法
1日1回、就寝前に1滴点眼します。点眼後、目頭を数分間圧迫して下さい。点眼を続けることにより「裸眼視力が上がる効果」は望めませんが、現在の状態より「近視の進行が進まない効果(平均60%軽減)」が期待できます。
参考文献
Ophthalmology.2019 Jan;126(1):113-124.
Low-Concentration Atropine for Myopia Progression(LAMP) Study: A Randomized,Double-Blinded,Placebo-Controlled Trial of 0.05%,0.025%,and 0.01% Atropine Eye Drops in Myopia Control.
Yam JC,Jiang Y,Tang SM,Law AKP,Chan JJ,Wong E,Ko ST,Young AL,Tham CC,Chen LJ,Pang CP.
オルソケラトロジー治療
オルソケラトロジー治療とは、就寝時に特殊な形のコンタクトレンズを装用することで、角膜の形を変えて裸眼視力を改善するとともに、近視の進行を抑制する効果のある治療方法です。
近視とは、遠くのものを見るときに焦点を網膜上に合わせることができず、網膜の手前で焦点が結ばれることにより、物がぼやけ明瞭に見えない眼の状態を示します。近視が進行してしまう原因は眼の長さ(眼軸長)が関係しており、眼軸長が長くなると近視が強くなっていきます。
オルソケラトロジーレンズを装着することで、遠視性デフォーカス(網膜周辺部における網膜後方に焦点を結ぶことによるぼやけ)を改善することにより、眼軸が長くなってしまうのを抑制できると考えられています。
[治療のメリット]
・近視進行抑制効果が期待できます。
・外科的手術は不要です。
・夜間寝ている間に角膜を矯正して裸眼視力の改善ができます。
・日中はメガネやコンタクトレンズは不要で裸眼で過ごせます。
・中止すれば2週間程度で元の角膜の状態に戻ります。
[治療のデメリット]
・夜間に継続してレンズを装用しなければなりません。
・強度の近視や乱視・遠視の矯正はできません。
・通常のハードコンタクトレンズと同様に毎日のレンズケアが必要です。
・定期検査は必須となります。
当院での治療の流れ
1. ご予約 :検査は予約制となっております。お電話にてご予約をお願いします。
2. 治療の説明 :オルソケラトロジーについて説明します。
3. 適応検査 :一般的な眼科検査を行います。
4. 診 察 :眼科専門医による診察、オルソケラトロジーの適応を判断します。
5. レンズお渡し:レンズの取り扱いの説明、装用練習を行います。
6. 定期検査 :治療開始後翌日、1週間後、2週間後、1か月後、3か月後、その後3か月毎に定期検査を行います。
治療費用
オルソケラトロジーによる治療は公的医療保険が適応されない自由診療です。治療費用は全額自己負担となります。(契約時払い・クレジット可能)
治療の流れ | 金額(税込み) |
初年度合計金額(①適応検査費用+②お試し費用+③治療継続費用) | 145,000円 |
① 適応検査費用 | 5,500円 |
② お試し装用費用(一か月) | 55,000円 |
③ 治療の継続費用 | 84,500円 |
④2年目以降の定期検査代 | 3,300円 |
⑤ その他の費用:レンズの買い替え・紛失 | 33,000円 |
*片眼の場合 お試し費用・治療の継続費用が半額となります。
*学生割引(18歳以下高校生まで)があります。詳しくはお問い合わせください。
*最長でも2年毎の買い替えをお勧めします。
*1年以内の破損は1回に限り無料保証です。ただし、破損レンズ半分以上の返却が必要です。
*レンズ紛失による保証はありませんので、取り扱いには十分注意してください。
レンズの使用に関する注意事項
*オルソケラトロジーレンズは、眼に直接のせて使用するものです。取り扱い方法を誤ると重い眼障害につながることもあります。また、適切に使用しないと目的とする裸眼視力の矯正ができません。安全に使用するために、取り扱い説明書をよく読み、眼科医の指示に必ず従ってください。
*健康状態の変化により、眼科医が装用中止を指示する場合がありますので、その指示に従ってください。
*検査後の診察にて、眼科医が継続して使用不可能と判断した場合は、その指示に従いレンズを交換してください。
*レンズを交換する場合(破損・紛失等の理由にかかわらず)、眼科医の診察を受ける必要があります。
*眼科的治療が必要と判断された場合、診察を受けてください。費用は別途かかります。
オルソケラトロジー治療は確定申告の際の医療費控除が受けられます。詳しくはお近くの税務署までお問い合わせください。