新年、明けましておめでとうございます。
今年は戌年ですが、干支にちなんで犬の眼の病気についてお話ししたいと思います。

犬には交配によって様々な容姿や体格をした品種が生まれていて、愛玩動物として我々を楽しませてくれたり、生活の役に立ったりしています。
動物を家畜化すると寿命が延びると言われていますが、ペットとして家の中で飼われている犬も寿命がかなり延びてきており、高齢化社会となった人間と同様、加齢と共に増加する白内障や緑内障が増えています。また、血統を保つために近親交配をするため、様々な遺伝性の眼の病気を持った犬が生まれています。
白内障にも遺伝性のものがあり、生後1~2年で水晶体が白く濁りますが、アメリカンコッカースパニエル、ゴールデンレトリバー、プードル(トイ、ミニチュア、スタンダード)などの犬種に多く見られます。糖質や脂質を豊富に含んだドッグフードや運動不足により、犬にも糖尿病が増えていますが、糖尿病によっても白内障が生じます。
一方、緑内障は、マルチーズ、シーズー、チャウチャウ、シャーペイなどの短頭種(鼻の長さが短い)の犬に多くみられます。眼の中を房水という液体が循環して、水晶体や角膜などの透明組織に酸素や栄養を補給していますが、この房水が眼から出ていく場所を隅角と言います。これらの短頭種犬では隅角の発育不全があり、眼から房水が流出しづらくなって眼圧が上がるのです。
最近では、眼内レンズを使用した白内障手術や、房水の流れを良くする緑内障のろ過手術など、人と同じような手術を行って、犬の眼を治療する動物病院も増えてきています。

ところで今年の干支は、正確に言うと60年に一度回ってくる、戊戌(つちのえいぬ)の年に当たります。
戊と戌は共に茂が語源で、戊は植物が繁茂した状態にある事を意味しますが、戌は逆に茂っていたものを切り取るという意味があり、戊戌は変化を迎える年だそうです。
当院でも今年は、近視の屈折矯正手術であるフェイキックIOL(有水晶体眼内レンズ)や、ハローやグレアが少ない新しい多焦点眼内レンズであるEDOF(Extended Depth of Field:強化焦点深度)IOLの手術に新たに取り組んでいこうと思っております。

また、本年もホームページなどを通じて、眼科医療に関する情報の発信にも努めていこうと思っておりますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

院長 中村公俊