抗がん剤治療中に「見え方が悪くなった」、「涙が止まらない」などの、
眼症状が起こることがあります。
眼への副作用は、他の抗がん剤治療の副作用と比べると、あまり注目されていませんでした。
最近、眼の副作用は気づかずに過ごしていると、抗がん剤を減量したり、中止しても、
眼の機能が回復できないケースがあることがわかりました。
しかし、眼の副作用は全ての抗がん剤に出現するわけではなく、
また眼への副作用が出たと報告された抗がん剤を使用したからと言って、
使った方全員に症状がでるわけでもありません。
今回は眼の副作用を起こしやすいと報告のあった抗がん剤と眼症状をご紹介します。
イレッサ、タルセバ、アービタックス : 「痛い」、「ごろごろする」
まつ毛が長くなり、不揃いに生え、角膜を刺激して、
異物感、痛み、炎症を生じる
キロサイド : 「目が痛い」、「目が赤い」
結膜炎
シズプラチン、ブリプラチン、ランダ : 「見えにくい」、「かすむ」、「中心がぼやける」
球後視神経炎(視力低下、視野障害など)
タキソール、タキソテール : 「見えにくい」、「歪む」、「かすむ」、「涙がとまらない」
視力低下、変視症、小視症、涙道障害
ノルバデックス、タスオミン、ノルキシフェン : 「物が歪んで見える」、「かすむ」
視力低下、変視症
TS-1、5-FU : 「涙がすごく出て、しょっちゅう眼を拭いている」、
「見えにくい」、「かすむ」
流涙(涙道障害)、
視力低下、眼痛、羞明(角膜炎、角膜潰瘍、角膜
びらん)
このほかにも眼症状を起こす抗がん剤がありますが、眼の症状に変化が現れた際には、
まず主治医とご相談ください。
「視力低下」や「変視症」などの症状では休薬の処置が取られることもありますが、
抗がん剤の治療計画もありますので、主治医とよく相談してください。
角膜の炎症、びらん、潰瘍などの角膜障害の場合は、点眼薬を早めに使い、
視力低下などの後遺症を残さないようにする必要があります。
「涙が止まらない」場合、眼の表面を潤した涙が
涙点から鼻涙管を通って体内に吸収される途中の涙道が
涙の中に排出された抗がん剤によって狭くなったり、塞がることによって起こります。
その場合は、抗がん剤が涙道にとどまらないようにするために、
頻回に点眼をして洗い流したり、通水処置をしたりして、
涙の排出路を通りやすくしてあげます。
当院でも、受診時の問診で抗がん剤についてお伺いすることもありますが、
情報提供のご協力お願いいたします。
困っていたり、気になることがある方は、ご相談ください。