眼球内では球形を保つために房水と呼ばれる水が作られています。
房水の流れ道には隅角というところがあります。
隅角には「シュレム管」という管状の構造があり、
蓋をするように「線維柱帯」という網目状の組織があります。
毛様体でつくられた房水は、角膜と水晶体を栄養し、老廃物を受け取り、
隅角へと流れています。
房水は線維柱帯を通り抜け、シュレム管へと流れていきます。
これを「経シュレム管流出路」といい、房水流出量の約90%を占めています。
1日にすると、約3.2ml流れています。
カフェインの摂取や多量の飲水などで房水の量が増え眼圧が高くなると、
線維柱帯を通り抜ける房水の量が増え、眼圧を下げています。
線維柱帯には、房水の流れをある程度調節する働きがあります。
房水の産生量は、緑内障のない人でも緑内障の人でもほとんど変わりませんが、
緑内障の人は何らかの原因により房水がうまく排出されないので、
眼圧が上がってしまいます。
房水の流出量が低下する原因はさまざまですが、次のような例があります。
・ぶどう膜炎で、炎症細胞や蛋白などが網目状構造に引っかかり、目詰まりを起こしたり、
炎症により虹彩が癒着したり、線維柱帯の構造が変化し房水が流れにくくなります。
・糖尿病網膜症が進行してくると、新生血管が線維柱帯の網目状構造の中に進入し、
房水が流れにくくなります。
・閉塞隅角緑内障では、隅角が閉塞して虹彩が線維柱帯の表面に覆いかぶさってしまうため、
房水が流出できなくなってしまいます。
房水は作られて巡廻して栄養することも大切ですが、排出されることがとても大切です。
房水の流れ道の状態がどうなのか、先生に診て頂くと安心かと思います。
aku