色覚は 色を感じる感覚のことですが、
判別しにくい色の組み合わせというものがあります。
多数派の色覚にも少数派の色覚にも
判別しにくい色の組み合わせがあります。
それを踏まえて、誰にでもわかりやすい色々な表示方を考えていくことが
色覚のバリアフリーにつながります。
では、具体的にはどんな工夫をすると区別がしやすくなるのか
例を挙げていきたいと思います。
《学校で気をつけるポイント》
クラスに男子が20人いれば、そのうち1人は色覚異常の可能性があります。
(黒や緑の)黒板で使うチョークは、白と黄色を使うとわかりやすいです。
明度・彩度が低い赤・緑・青などのチョークは、色覚異常者には見づらいです。
ホワイトボードの場合は、背景が白いので、色覚異常を有する場合
黒・緑・赤のマーカーで書かれた文字同士で色の区別がしづらくなります。
青のマーカーを主に使い、それ以外の色として黒・緑・赤を(区別せずに)使うと
わかりやすいです。
黒板・ホワイトボードどちらでも、強調したい語句は、アンダーラインを引いたり
丸く囲んだりなどするようにします。
図表や品物を色の名前だけを使って表現しないようにします。
児童生徒に色の名前は答えさせないようにします。
色覚異常に特有の混同しやすい配色が重複した図・絵の教材は使わないようにします。
色を扱う図画・美術の授業では、特に配慮が必要です。
場合によっては個別の対応・配慮も必要でしょう。
《職場や地域で考えていくこと》
仕事の際色の混同で困惑し受診をされる色覚異常の社会人の方もおられます。
配線コード・スイッチボタン・道具・器具・標識・路線図など、
色で情報を判断したり区別しなければならないものがたくさんあります。
そうした物を作るとき、配色に配慮したり、
色以外もで区別できる文字や目印を工夫したりするとよいです。
また色覚異常を有する人自身が自己の色覚の特徴を理解して、
自分はどういう状況下の配色を混同しやすいかを知っておくとよいです。
色の誤認で不利益を被ったり、思わぬ事故に結びついたりすることがあります。
学会でよく使われる赤色レーザーポインター(635、650、670nm)ですが、
第1色覚異常を有する人にはわかりづらいです。
緑色のレーザーポインター(532nm)なら誰にでも明るく見やすいです。
案内板や掲示物に記されている文字・記号・図柄の色具合も見直しが必要でしょう。
方向を示す矢印や、トイレの男女別を示す絵柄なども工夫が必要です。
色の組み合わせも、誰にでも見やすい・わかりやすいことを意識します。
色使いや強調の仕方に統一性を持たせ、なるべく大きな字や図表を用い、
3~4種類以下の色でまとめるとわかりやすいです。
《追記》
川崎市の日本理化学工業株式会社さんが開発した色覚対応の「eyeチョーク」をご紹介します。
色は、赤・黄・青・緑の4色で、
それぞれに「明るく鮮やか」「明るくくすんでいる」「暗くて鮮やか」「暗くてくすんでいる」
といった色の明度と彩度で4つの対比を作り識別できるようにした商品です。
2004年に発売になり、教育現場で無理なく使ってもらいたいとの意向で、
販売価格は通常のチョークと同じで同色72本入りで1470円です。