今年に入り何回か新聞でも取り上げられている話題です。
10年前に「差別につながりかわいそうだ」という理由から、
学校検診での色覚検査が必須アイテムからはずされました。
しかし学校検診で色覚検査を受けたことがない世代が、
就職・進学時の健康診断で初めて自身が色覚が他の多数派と異なると知り、
志望の変更を余儀なくしなければならなかったという事例が出てきました。
色の感じ方は本人にしかわかりません。
微妙な色の差は間違えるけど日常生活では不自由を感じない人もいれば、
色の差を見分けるのが結構苦手だというレベルの方もいらっしゃると思います。
多分10年前に色覚検査の撤廃を進言された方たちは、
「自身も色覚異常があるが日常生活上不都合を感じないのにからかわれ嫌な思いをし、
そんな検査はしないほうがよい」と考えられたのでしょうか。
微妙な色の違いは誰でも間違えやすいですが、
多数の方が間違えない違いを間違えやすいとなると生活しにくく感じられると思います。
やはり自分の眼の特徴として捉えるチャンスは早めに与えられた方がよいのではないかと
考えます。
色の感じ方は先天性で遺伝子によって決められます。
現在、正常色覚と呼ばれている状態は多数派ということになり、
正常色覚ではないと判定されてしまう色覚を持っている人たちは
少数派の色覚を持っていることになります。
少数派の色覚の中でも多いのは日本人では男性の5%、
女性では0.2%の人が持っている色覚です。
欧米では全体の8~10%、アフリカ黒人やエスキモーでは1%と、
人種によって占める割合は異なります。
表現の仕方はいろいろとあるのですが、
「色覚は何種類かあるのです」と表現する研究者もいます。
「人間の色覚は何種類かあって自分はどんな色覚を持っているのだろう」と考えると
色の感じ方に興味を持て話しやすい環境にならないかなと思ったりもします。
正常色覚と呼ばれる人たちでも、
混同しやすい色相(赤色と朱色、黄色と山吹色)があるように、
少数派色覚には独特な混同しやすい色相(赤緑色覚異常の場合なら赤色と緑色)があります。
また眼疾患の後遺症で色の感じ方が変化してしまうこともあります。
色覚チェックがある職種・免許はいくつかあります。
船舶免許・パイロット免許の取得、鉄道の運行業務、警察官・自衛隊員の採用時は
色覚チェックがあります。
消防士の場合は、火事で電源が落ちた現場で火が燃えているのがわかる必要があります。
また日常生活に不便さを感じなくても、
印刷・塗装・服飾など色を扱う仕事では、苦労する場合があります。
色の感じ方はご本人にしかわかりませんが、
色覚異常がある場合、
自分はどんな色を見分けることが苦手でどれくらいの程度なら見分けることができるのか、
ご自身の感じ方の特徴を知っておくと
若い方の場合は特に将来の方向付けのきっかけになると思います。
色覚検査は 眼科の外来で受けることができますので、気になることがあったり、
ご自身の色の感じ方を知りたい時には検査を受けてみましょう。