近視は成長期の子供に多いと言われています。成長に伴い、眼軸長(角膜表面から網膜までの長さ)が長くなるからです。
しかし、最近では、大人でも近視の進行が見られます。スマートフォンなど近くを見る機会が多い事があげられ、成人しても注意が必要な現代病と言われています。

人は近くを見る時、毛様体筋という筋肉を収縮して水晶体の厚さを調節して、ピントを合わせます。これを調節といいます。
近くになればなるほど調節する力を多く必要としますが、この調節をする力が不十分である事によって、網膜に焦点を合わす事が出来ず、網膜後方に焦点がずれてしまいます。
日常ではこの様なずれによるぼやけの自覚はありませんが、これが長時間続くと、網膜に焦点が合う様に、眼球が伸びると言われています。

眼球が伸びると、目の奥にある網膜などの見るために大事な組織が引き延ばされ薄くなり、緑内障、網脈絡膜萎縮、網膜剥離などの目の病気へのリスクが高まります。
また、視力低下によって引き起こされる認知症との関係性が、最近の研究であげられています。見えづらい事により、脳への刺激が減り脳の機能の低下が原因と考えられています。

近視の進行を防ぐ為、お子様に日常生活では以下の様な事に気を付けてもらう様にお話をしています。

・読書や勉強時では本との距離を30センチは離す様にして、正しい姿勢を保って下さい。パソコンやディスプレイ画面は50センチ以上離して見て下さい。

・長時間、近距離を見続けない様に、1時間に10分程度の休憩を入れる様にしましょう。

・お部屋の明るさは明る過ぎたり暗過ぎたりしない様に、500ルクスが適当です。

また、当院では近視の進行予防として、低濃度アトロピン点眼薬の処方をお子様に行っています。
将来、近視が進行した大人にも有効な薬が出てくる事を期待します。