前回は、加齢黄斑変性症とはどんな病気なのかをお話し致しました。
今回は、当院で行っている治療についてのお話です。
一般的に加齢黄斑変性症は、前駆病変、萎縮型加齢黄斑変性症、滲出型加齢黄斑変性症の3つの病型があります。
日本人では滲出型が多く、これは脈絡膜から網膜に向かって新生血管という正常とは違う血管が生えてきます。新生血管はもろく、血管から水分や血液成分が漏れ出したり、破れて出血を起こしたりします。新生血管が脈絡膜から伸びるのには、血管内皮細胞増殖因子(以下VEGF)という物質が関与しています。
このVEGFの働きを妨げ、新生血管の成長を抑えるために、抗VEGF薬を硝子体内に直接注射する硝子体内注射がメインの治療になっています。
現在、抗VEGF薬として、ルセンティス(ラニビズマブ)、アイリーア(アフリベルセプト)を主に使用します。初回の注射は4~6週毎に3回続けて行い、その後は病状が悪化、または悪化しそうであれば、その都度注射する方法をとっています。
当院での抗VEGF薬の硝子体内注射は、平成21年から行われています。昨年1年間では加齢黄斑変性症に対して87件、今年は1月から6月の半年ですでに70件の注射が行われ、その数は増えています。
注射を続けることで、良好な視力を維持出来る患者さんも多くなりましたが、この病気は完全に治る病気ではないため、注射に伴う高額な治療費、継続的に行う注射や通院は患者さんの負担になり、不安やストレスを抱える患者さんも少なくありません。今後もこの病気の患者さんが増えることが予想されますが、私たち眼科スタッフが患者さんに寄り添い、治療の継続のお手伝いをしていきたいと思っています。
画像:ずっと見える情報局 よりお借りしました。